「演劇」について知ろう!

「演劇」と聞くと「役を演じること」だけが全てだと思われがちですが、実は役者以外にも裏で公演を支えている人たちがたくさんいます。今回は私たち演劇研究部の活動内容をもとに一つの演劇公演がどのような人たちで、どのように作られていっているのか一緒に見ていってみましょう!

役職紹介

まず、はじめに一公演を作り上げるためにどのような役職の人たちが働いているのかについて見ていってみましょう!

①演出

公演を行う上で最も重要なポジションに立っているのが「演出」さん!

「演出」の担当になった方は劇の中心に立って役者にどのような演技をやってほしいか指示を出したり、音響係や照明係など他の係の人とも連携を取り合いながら『今回の劇にどのような演出を加えていくか?』などを決めていったりする、いわば演劇の中での「大黒柱」のような存在です!

②役者

演劇を行う上で演出さんの次に重要になってくるのが役柄を演じる「役者」の皆さん。

「役者」の担当になった方はセリフ締めの期限日までに自分のセリフをしっかりと覚え、台本を見なくてもすらすらと言えるようにします。

大きな声で一つ一つのセリフをはっきりと言わなきゃいけないので一見大変そうに思えるかもしれませんが、〈自分が与えられた役柄について『こんな感じの役柄かな…?』といろいろ発想を膨らませながら自分なりの役柄を作っていける〉といった部分は役者の楽しさの一つです♪

③制作

公演に向けて練習を行っていく上で練習場所の確保やスケジュール管理も大切!

「制作」の担当になった方は主に公演会場や練習場所の確保や公演参加者全員の練習参加スケジュールの募集及び作成の仕事を行います。

「練習場所の確保」や「スケジュール作成」など一見地味な作業が多いように思えるかもしれませんが、全て公演を行う上でしっかりとした重要な役割を持った仕事です!

④舞台監督

「舞台監督」の担当になった方は演出さんと相談しながら『どのような大きさの舞台を作り、それを作り上げるために何が何個必要なのか?』といった計算や見積もりを行い、舞台案を作ります。

実際の舞台設置の際には先頭に立って配置確認や全体への指示出しも行うので舞台の設置に欠かせない重要な役割を持った存在です!

⑤音響

劇を彩る演出の一つとして「照明」などと一緒に用いられるのがBGMやSE(サウンドエフェクト)などといった「音響」です。

「音響」の担当になった方は事前に演出さんから伝えられたテーマに沿って劇中に使えそうな音楽やSEの音源をインターネットなどから探し、OKがもらえたら実際に音響機材を使って音響を流してみるといった仕事を行います。

音響機材の操作はただ単にボタンを押すだけではなく、必要に応じてミキサーなどの操作も行ったりするので本格的な音響操作が楽しめます!

⑥照明

劇を彩る演出の一つとして「音響」などと一緒に用いられるのが「照明」です。

「照明」には「スポット」・「ハロゲン」・「白熱灯」など様々な種類があり、このような種類の照明器具を『どのライトを、どこの場面で付けたり消したりするのか?』といったことを演出さんと綿密に相談しながら決めていく仕事を「照明」担当の方は行います。

照明でも音響と同じく、ただ単にスイッチをオン・オフするだけではなく、レバーを使って明度調節を行ったりする本格的な照明操作が楽しめます!

⑦衣装

役を演じる上で役者の雰囲気を醸し出す要素の一つが「衣装」!

「衣装」の担当になった方は演出さんから事前に伝えられたそれぞれの役ごとのイメージに沿って衣装案を考え、OKがもらえたら実際にそれにあった衣装を全体から募集したり、必要に応じて購入・制作したりします。集まった衣装の管理も衣装担当の方が中心となって行います。

衣装に関しても『必ずこうでないといけない』といったものは特に決まっていないので、自分なりのセンスを活かしながら劇中にあった最適な衣装を考えることができます!

⑧小道具

劇の中で使われる「棒」や「携帯」などといった小道具の数々… 実はそれらもその公演のためだけに集められた小道具たちなんです!

「小道具」の担当になった方は劇中で必要になりそうな小道具(手で持ち運びが可能なもの)を事前にピックアップしておき、部で管理している小道具ボックスの中から該当の小道具を探します。どうしても集まらないものがあった場合には部員に募集をかけてみたり、購入・作成をしたりして補填します。

小道具が集まったら、紛失しないように管理を行うのも小道具係の人が中心になって行います。

⑨大道具

劇中で使われている「ボックス」や「平台」など… 実はなんと“全て手作り”で作られているんです!

「大道具」の担当になった方は劇中で必要になりそうな大道具(劇中で頻繁に移動をさせない大きなもの)を事前にピックアップし、購入できるものに関しては購入し、購入できないようなものがあったり、イマイチ劇中のイメージにぴったり合うものが売っていなかったりした場合には作成するのに必要な材料の準備を行ったりします。

大道具の作成は基本、部員全員で行います。

⑩広報

「広報係」では宣伝の時に使う“フライヤー (チラシ)”や公演を観に来て下さったお客様にお渡しする“パンフレット”などの「デザイン考案」及び「作成」を行ったり、Twitterなどの宣伝ツールを使ってどのように宣伝を行っていくかを考えたりする仕事を行っています。

レイアウトやデザインの制限は一切ありません!広報で自分なりのレイアウトやデザインを使ったフライヤーやパンフレットを作ってみましょう♪

⑪事務

公演を観に来て下さったお客様が公演会場に簡単に辿り着けるように配慮を行うのも公演の重要な役割の一つ!

「事務係」になった方は公演を観に来て下さったお客様が公演会場に簡単に辿り着けるようにキャンパス内の数カ所に案内看板の設置を行ったり、当日スタッフ(詳しくは次に説明)の募集及び任命、指示出しを行ったりします。

⑫当日スタッフ

公演を観に来て下さったお客様に対して暖かく出迎えることも重要な公演の役割の一つ!

「当日スタッフ」に任命された方は公演日当日にキャンパス内でお客様の誘導を行ったり、受付でパンフレットの手渡し作業を行ったりします。

募集は〈役柄を持っていない部員〉、〈公演自体には参加していないがたまたま当日に予定が空いていた部員〉の中から募集します。

これだけたくさんの人が関わって一公演が成り立っています!
役職は各公演ごとに毎回入れ替わるので、いろいろな役職を体験してみて自分に合った最適な役職を見つけてみましょう!

公演ができあがるまで…

『上記の内容で多くの人が一公演の制作に関わっているってことは分かったけど、どうやって公演が作られていっているの…?』

ここではそんな方のために台本を決めるところから公演ができあがるまでの流れを簡単にご説明致します!

①台本募集・台本・演出決め

部長:『今回の公演は公演時間が約80分程度の台本で役者の人数が7~10人程度の台本を探してきて下さい!』


まず、今回の公演の概要(どのくらいの人数で、公演時間が何分くらいの台本を探すか)について部長の方から全体に連絡が来るので、公演に参加する方は決められた期間までに自作の台本やインターネット、図書館などを使ったりして公演概要に合っていて、自分がやってみたいと思う台本を探し、全員が見れるように所定の場所まで台本のデータを入れておきます。

台本募集を締め切ったら次に「台本・演出決め」を行います。台本決めの際には事前に各自で所定の場所に入っている台本データに全て目を通してもらい、自分のやりたい台本をあらかじめ決めた上で公演の参加者全員で教室に集まって行います。


部長:『台本決めを行います!自分が「この台本がいい!」と思う台本の所で手を挙げて下さい!』

〈投票〉

部長:『今回の公演でやる台本は「OXOXOXOX (台本名)」に決まりました!』


以上で台本決めは終了となります!本来でしたらこの後に「演出決め」も行うのですが、こちらでは省略させていただきます。(「演出決め」については基本的に台本を読んでいて『あっ!この劇の演出、自分やってみたいな!』と感じた方の中から募集します。強制的に任命されることはございません🙅‍♀️)

では、次にいよいよ本格的な役者決め・稽古に入っていきます!

②役者決め・稽古

台本と演出さんが決まったら次に「役者決め」を行っていきます!

役者の決め方は演出さんによって様々な方法がありますが、基本的には「役者希望者と演出さんの二者面談」と「オーディション」の2つの審査で決めることが多いです。

役者決めが終わって正式に役者発表が行われたらいよいよ本格的な稽古に入っていきます。


演出:『今日は○○のシーンをやるよ~ 役者の人は準備ができたら位置についてね。』

演出:『じゃあ、○○のシーン行くよ~ よーい…アクション!』

〈実演〉

演出:『カット!う~ん、△△(役名)に関してはもっとここをこうして演じてみるといいかもしれない!あと、△△(役名)に関しては…(中略)…といいかもしれない!他の見てた方はどう感じたかな?』

部員A:『はい!XXXX(シーン)について○○(意見)したほうがいいと思います!』

演出:『なるほど… じゃあ、そしたら今度はAさんの意見も取り入れたバージョンでやってみよう!』


基本的な稽古は事前に演出さんから伝えられている練習シーンを実際に役者の人が演じ、そのシーンに出ていない人たちでその様子を見て意見を出し合ったりして進めていきます。最初の頃は台本を持ちながら練習することができるので、コツコツと自分のセリフを覚えていきながらその劇の大まかな流れをつかんだり、『どんなキャラクターにしていこうか?』といった自分なりのキャラ設定を考えていったりします。

稽古期間が長くなってきて、いよいよ台本を外して練習を行うことになったら、台本を見ていた頃にはしっかりとできていなかったセリフとそのセリフに合った動きの合わせ作業を行っていきます。

ある程度、稽古期間が過ぎていよいよ本番日が近づいてきたら「場当たり」や「ゲネプロ」といった本番の形式に近い形で稽古を行います。この2つについて詳しくは次の項目内で説明します。

③場当たり・ゲネプロ

ある程度稽古期間が長くなってきてセリフや演技が身体になじんできたらいよいよ本番用の舞台を立てて一度実演してみます!

「場当たり」では実際に舞台を立ててみて舞台や大道具、照明の位置や照射範囲などの確認を行います。確認が早く終わったら実際の舞台を使って稽古を行うこともあります。

「ゲネプロ」ではOB・OGの先輩方にご協力いただいて実際に観客を入れた状態で公演を行います。ゲネプロを通じて先輩たちからいただいた感想やアドバイスに関しては本番日までの練習の参考として使用します。

場当たりやゲネプロを通じて分かったこと・気づいたことなどを活かして本番まで最後の詰めを行っていきます。そして…

④公演本番!

いよいよ迎えた公演日当日!

これまでの稽古期間を通じて身につけてきたたくさんのスキルを活かしながら自分なりに作り上げてきた役柄を演じきりましょう♪

このような手順を経て一つの公演が作られています!
皆さんも私たちと一緒に公演を“作る”側の立場に立って、独創的な劇を作り上げてみませんか?


武蔵野大学演劇研究部 def's drop

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